スパエク 影絵劇

スパエク

カンボジアに限らず、東南アジア一帯の文化にはインドの影響が色濃く根付いています。特に、インドの長編叙事詩「マハーバーラタ」と「ラーマーヤナ」はタイ、インドネシア、そしてカンボジアにおいて、土着の文化や民話を織り込み、それぞれの地域版ともいうべきものを生み出しています。

カンボジアにおいて、これら2大インド叙事詩は影絵劇となって発展しました。「リムッケー」は、カンボジア版「ラーマーヤナ」として知られています。

スパエク(影絵劇)は、「ラーマーヤナ」物語を題材にとった民衆影絵劇です。大まかな筋は決まっているのですが、台本はありません。ほとんど即興で演じられ、その場の軽妙なやりとりが観る者に緊張感と笑いをもたらします。それが、現代に生きる古典影絵「スパエク」の大きな魅力となっています。農村のひとつの娯楽として定着しており、祝い事や収穫後などに寺の境内で行われます。

カンボジアは、首都プノンペンを除くと、アンコール遺跡群のあるシエムレアプといえども小さな都市ばかりといっていいほどです。カンボジアの全人口のうち80パーセントは農村に住んでいます。農村の生活は農事暦によって規定され、農民にとっては自然のサイクルこそが道徳であり、一種の秩序なのです。メコン川とトレッサップ湖、そしてシャム湾・・・と、自然の恵みが豊かなカンボジアでは、今も昔も農民が国家を支えています。
あれほどの隆盛を極めたアンコール王朝が15世紀半ばにシャム(タイ)のアユタヤ朝に侵略され、その後、近代においては1970年以来、戦争と虐殺、そして今もジャングルに埋まったままになっている地雷・・・と、悲惨な経験を経てきているにもかかわらず、楽観的で、くよくよしない性格といいわれる農民たちが力強く生活を営んでいる姿をみると、旅人は元気をもらえる気がします。


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Posted by IsekiMonth │カンボジア

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